自閉症の子育てに悩むお母さんは多いと思います。
私も息子の自閉症療育に失敗を重ね悩んだ時期が長かったのですが、失敗体験から「子育て目標」を立てたことがとても役立ったのです。
彼がどんな大人に育ってほしいか、それが目標です。
子育て目標を立てたのは、息子が7歳のときで、期限は学校卒業後の12年後です。
今回は、目標のひとつ「人に好かれる人に育てること」を達成するためにやったことや、なぜそうしたのかについてお話しします。
自閉症の息子への接し方
自閉症の息子への接し方を間違えると、どんどん歪んだ方向へ行ってしまいます。
そのことは、7歳までの取り組みで痛感したのです。
彼が好きなことを伸ばしてやれば良いと思っていた幼少期の息子は、自分勝手で気に入らないことには喚き散らして抵抗していました。
どんなにできることが増えても、このままの状態で大人になったら扱いにくく、人に嫌われる人に育っていたと思います。
- 生きていくために必要なことは、嫌がることも避けない。
- 取り組みは中途半端に中断せず、最後までやりきる。
- 彼の機嫌に合わせない。
この接し方は、個別学習をするときだけでなく、生活全般でいつも心がけていました。
何をやらせても直ぐにできるようにならなかったので、親子で忍耐が必要でした。
社会的なマナーを教える
自閉症の息子にとって、家庭は一番小さな社会です。
普通なら家庭はくつろぐ場ですから、家庭生活くらいは彼の好きなようにさせてやれば良いじゃないかと思いますよね。
でも、内と外の使い分けが極めて難しいので、家庭生活の中で社会的マナーを教えていくことにしたのです。
- 報告すること
- 場の状況を気遣うこと
- 指示に従うこと
- 達成感や喜びを味合わせること
「できました」「わかりません」「教えてください」などを個別学習をしながら教えました。
「沈黙」「声のボリューム」「勉強中」「テスト中」など、今何をしているか、どのように行動すれば良いかを教えていきました。
指示されたことだけをする。余計なことはしない。ということを教えていきました。指示されたこと以外の勝手な行動が、人に迷惑をかけることがあるからです。
課題は彼が少し頑張ればできる質と量にして、最後までやりきらせます。
間違っていることも多かったですが、最後までやりきったことを誉めることで「達成感」や「喜び」を味合わせる経験をさせていきました。
これらのことは、家庭で個別の課題学習をするときの姿勢として取り組みました。
課題ができるかどうかよりも、取り組む態度の方を重視していたのです。
個別学習の本来の目的は、彼に社会的なルールを教えることだったんです。
食事のマナーを教える
息子が幼少期には、彼を連れて外食することは、とても気疲れするので避けていました。
外食なんてとんでもない状態でした。
座っていられず走り回る、手掴みする、人の食べ物にも手を出す、気に入らないと奇声をあげる、などなど、落ち着いて食事ができない状態だったのです。
- 彼が好きなものに合わせたメニューにしない
- お菓子などの間食をやめて空腹にさせる
- トレイなどで自分の分を分かりやすくする
- 欲しがっても余分に与えない
- 食べ終わるまで席を立たせない
- 席を立った時点で片づける
- 他の家族の食べ物に手をつけさせない
- 家族が揃うまで待たせる
祖父母と同居していたので、彼が欲しがると、「よしよし、おじいちゃんのをあげよう」なんてこともあったので、祖父母を説得するのに一苦労しました。
内と外の区別がつきにくい彼に、家庭での食事だからと許していたら、外食のときに隣のテーブルの人の食べ物を欲しがって騒ぐこともあります。
騒ぐだけならまだしも、サッと近寄って手掴みで食べてしまうことだってあり得るのです。
ですので、まずは家庭の中で食事のルールを教えたのです。
また、酷い偏食があったので、なんでも食べられるように偏食指導もしました。
お腹が空いていれば食べるだろうと、間食を一切せずに空腹にさせて、彼が好きなものだけを作らないようにしたのです。
集団生活の中では、出されたものを食べないといけないこともあります。その時、食べられるものが少ないと不幸です。
なんでもおいしく食べることができるようにしてやることだと思ったのです。
あいさつや話し言葉
息子は近所のおばちゃんたちから、「挨拶をよくしてくれる」「言葉がきれい」などと褒めてもらうことがあります。
子供に障害があると、人と接する機会を避けがちになりますよね。
迷惑をかけるかもしれない、変な子だと思われるのがイヤ、人目が気になる、など、おっくうになりがちです。
でも、彼が成人して一人で行動するようになった時のことを思うと、できるだけ他人と接する機会を作るべきだと思いました。
小さいうちは、少々のことは小さいからと大目に見てもらえますが、大きくなってからでは許されないこともあります。
なので、積極的に地域の行事に参加したり、近所を散歩したりして、人と会ったらあいさつをすることを教えていたのです。
また、彼との会話を「ですます調」にしていたので、「親子なのに他人行儀な話し方をするのね。」と、よく言われました。
でも、言葉の使い分けが難しい彼には、誰に対しても不都合がない丁寧な言葉を教えておく方が良いと思ったのです。
まとめ
自閉症の息子と向き合って療育を始めたのは、彼が7歳の時です。
それまでの取り組みを反省し、「学校卒業後の彼」がどんな人に育ってほしいかで「子育て目標」を立てました。
その目標のひとつが、「人に好かれる人に育てること」です。
その目標達成のために、「接し方」「マナー」「食事」「あいさつ」「話し言葉」などを、彼の状態に合わせて指導してきました。
具体的な目標を決めると、具体的な取り組みも考えられるようになります。
子供の状態は一人ひとり違っていますから、我が子をよく観察して将来のために必要なことをスモールステップで療育していくと良いです。
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