自閉症の子は対人関係が育ってないと指摘されることがあると思います。
息子も乳児検診でまず指摘されたのは対人関係でした。
自閉症を含めて発達障害について何の知識もない時期に、そんな指摘をされるとそれが息子の発達を阻害している原因だと思ってしまいました。
母子関係までも育っていないと指摘された私は、息子との関わり方を間違っていたことに気付くまでに時間がかかりました。
そんな私の体験も含めて、母子関係を育てるために必要なことを書いています。
厳しいと感じる部分もあるかも知れませんが、自閉症の息子の子育てに失敗したこともいっぱいあった私が痛感したことです。
母子関係が育ってないと言われた乳幼児期
乳児検診で対人関係に問題ありとなった息子は、二次健診を受けた後に障がい児の通園施設に母子通園することになりました。
1年ほど通えばよくなるのね!
対人関係さえ育てば、普通に育つようになると期待でいっぱいでしたよ。
専門家のアドバイスは絶対だった
母子通園では集団セラピーのほかに、月1回専門家によるカウンセリングがありました。
2歳になったばかりの息子は母親になついていないように見えたんでしょうね。
「母子関係が育っていない」と言われたんです。
そして、母子関係を築くために、抱っこにおんぶでスキンシップをすること、息子の要求を受け入れてお母さん大好きにするようにアドバイスされました。
はじめて受けた専門家のアドバイスは絶対でした。
だってそうでしょう。やっとどうすれば良いのか専門家に指導してもらったんですから。
モラハラ発言と思っていたことが…!
対人関係を育てるには集団生活が必要だろうと思ったので、母子通園を継続しながら姉が通っていた保育所に預けることにしたんです。
息子は2歳10ヶ月のときでした。
保育所での彼は大変だったようで、保育士さんを手こずらせていたようです。
送迎時に私にべったりくっついて抱っこされている息子を見て、園長先生に甘やかしすぎだと言われました。
そして、息子のことをお殿様みたいだと言って、「との」と呼ぶこともあったんです。
今だったら、モラハラ発言で問題になりそうですよね。
私は専門家のアドバイスの通りにしていたつもりだったので、園長先生の「との発言」は腹立たしく悔しい思いをしたことを覚えています。
園長先生が本当に言いたかったこと、私に伝えたかったことに気付いたのは、息子が小学校になってからでした。
ちょっと乱暴な言い方をする園長でしたが、そんな関わり方をしてはいけないと教えようとしてくれていたんだと思います。
幼児期の関わり方を間違っていた結果
母子関係を育てるために、抱っこにおんぶでスキンシップをすること、彼の要求を満たしてあげること、このアドバイスをできるだけ実行するようにしていました。
でも、こんな関わり方は息子の成長には逆効果だったんです。
育て方を間違った結果の二次障害
思い通りにならないときは癇癪をおこして大騒ぎ。嫌なことも泣きわめいて絶対にしない。
小学1年生になったときの息子は、わがまま放題の野生動物みたいに育っていたんです。
「甘やかしすぎの子育て」が招いた結果でした。
彼の障害のせいではなく、育て方を間違った結果の二次障害です。
好きなこと得意なことしかしない
野生動物みたいな彼にも、好きなこと得意なことはありました。
自閉症の子は成長がアンバランスでデコボコなところがあります。
なので、できないことは無理にさせなくても良い、できることを伸ばしてやれば良いとのアドバイスも受けたんです。
自閉症でなくても、誰でも得手不得手があるものだし、得意なことを伸ばす育て方は良いことだと思うのですが、息子の場合はNGでした。
そもそも、得意なことが極少だったので、嫌いなこと苦手なことを頑として受け付けなくなり、好きなことしかしなくなっていたんです。
さらに、好きなことは指示されないこと余計なことまでやってしまうんです。
一見、凄いじゃないって思いがちなんですが・・・。
大人になって社会に出たとき、指示通りにできない、仕事ができない人になってしまうかもしれないんです。
好きなことだけやって生きていける人って、そうそういないですよね。
本気で向き合うことで信頼関係ができる
息子と本気で向き合うことがどんなことなのか知ることになったのは、私設の某療育センターで、外来セッションを受けたときですした。
息子は小学1年生になっていました。
幼児期に間違った関わり方をしていた私ですが、そんなことには気付かず、むしろ私なりに頑張って子育てしていたつもりだったんです。
機嫌さえよければ、色んな事ができるはず!いいとこ見せて!
私はがんばってきたことを褒めてもらいたかったんです。
でも、彼は、嫌いなことは机やイスをガタガタさせて大声で叫び、大騒ぎで逃れようとするし、好きなことは言われないことまで勝手にやってしまう・・・
そんな息子に下された指摘は、「こんな状態で能力がついても役に立たない。かえって邪魔です。」だったんです。
こんなに厳しいアドバイスは初めてで大ショックだったんですが、自閉症の子育て経験をされている先生の言葉だったので、本気度が違っていました。
この先生のアドバイスは信頼できる。私が変わらないといけない。
息子の言いなりになって機嫌を取り、好きなことだけを伸ばすような育て方では、母子の信頼関係は育ってなかったことに気付かせてもらえました。
本気で向き合うこととは
息子が生きていくために必要と思えることは、彼にとって苦手なことでも逃げないこと。
どこで躓いているのかよく観察すること。
どうすればできるようになるのか工夫しながら指導していくこと。
息子が困っていることに寄り添いながら、嫌がることも諦めずにやっていくこと。
こうして「私が育てる!」と覚悟を決めて向き合うことで、わがまま放題の息子が変わってきました。
「苦手で嫌いなことも、できるようになると得意で好きなことになる。」と、いうこともたくさん経験できたんです。
信頼関係を育てるために外せないこと
子どもの言いなりで甘やかすだけでは、信頼関係は育たないことを身をもって知りました。
そこで、接し方を180度変えました。
- 譲らない
- 投げ出さない
- わがままは通らない
- 約束を守る
少しずつ変えるなんて悠長なことは言ってられなかったので、息子にしたら急変ですよね。
まだ二語文くらいしか話せなかった時期なので、言葉で表現はできなかったですが、「お母さんが僕の言うことを聞いてくれない。」と、思っていたことでしょう。
大騒ぎ大暴れになりました。でも、この大騒ぎに降参していたら変えることはできないので、譲らない姿勢を通したんです。
一ヶ月ほどで、息子の大騒ぎ大暴れはおさまりました。
その後も、小騒ぎ小暴れはありましたけど、苦手なことにも挑戦するようになり、色んな事が指導できるようになったのです。
息子にとって、とても厳しい母だったと思いますが、彼との約束は必ず守る、裏切らないことも徹底していました。
予定変更が受け入れられるようになるまでは、できるかできないか分からない約束はしないようにしていたんです。
こんな感じで、息子と本気で向き合うことによって、信頼関係を育てることができました。
大人になった今も、その関係は続いているので、日常が過ごしやすいですね。
信頼関係は療育しながら育てる
私は、幼児期の関わり方を失敗してしまったので、わがまま放題に育ってしまった息子の軌道修正は大変でした。
大変だったんですけど、「母子関係を育ててから」ということではなく、家庭療育をしながら息子との信頼関係を育てることができました。
息子とガッツリ関わることが必要だったので、家庭での個別学習をする中で接し方を変えていったのです。
普通は学習していることをできるようにすることが第一目標だと思いますが、私の場合はそれは二の次で、接し方を工夫することで彼の行動を整えることを重視しました。
具体的にどんな学習をどんな関わり方でやっていたのかは、課題ごとに進捗状態なども入れながら別ページで詳しく書きますね。
まとめ
対人関係が苦手な自閉症の我が子と、母子関係が育たないと悩んでいるお母さんもいらっしゃいますよね。
自閉症の息子が幼児期には、私も母子関係が育っていないと指摘されました。
自分なりに頑張って子育てしてきたつもりでしたが、小学1年生になった息子は手がつけられないほどわがまま放題に育っていました。
その原因は、幼児期の関わり方が間違っていたからだったんです。
子どもの言いなりになって甘やかすだけでは、母子の信頼関係は育ちにくいですし、指導なども進めにくいです。
子どもが困っていることに寄り添いながら、本気で向き合っていくことで信頼関係が育ちますし、家庭療育もスムーズに進められるようになります。
息子を育てていく中で、信頼関係を築くことがとても大事だと痛感しました。
厳しい内容も書かせていただきましたが、参考になることがあれば幸いです。
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