自閉症の場合、独り言をいう子が多いのですが、息子も言葉を獲得し始めてから、独り言が止まらなくなり困りました。
会話はできないのに、
独り言は延々と喋るんです。
片言の要求語が言えるようになり、やっと声が聞けたと喜んでいたら、場所も時間もお構いなしに、独り言を喋るようになったんです。
子どもの内はちょっと変わった子と思われるくらいですが、大人の独り言は変な人怖い人と思われる可能性もあります。
そんな息子の独り言を止めることができたのは止めずに止めることでした。
言葉が邪魔になるなんて!
息子の独り言が始まったのは、表出言語を獲得して2年くらい経った頃でした。
二語文くらいで日常的動作を伴う言葉が言えるようになった頃ですね。まだ、会話は成立しにくかったのですが、独り言はペラペラとしゃべり続けるんです。
待ち望んでいた言葉なのに
邪魔にさえ思えてきたんです。
独り言のテーマは、その時彼が気に入っていることや気になっていることです。
特に多かったのが、よく見ていたテレビ番組のアニメのセリフでした。
家なら家族だけなので、「あぁまた言ってる。」で済むのですが、外に出た時に突然しゃべり始める時もあり、周囲の目もあって困りました。
声を出してはいけない場所には連れて行けなくなるんです。例えば、映画館とか演奏会などで独り言をいうと迷惑になるでしょ。
連れて行けないと経験させることも減ってしまいますから、何とかして止めたかったです。
言葉が出ない時期には、言葉さえあればと思っていたのに、言葉が出始めると逆に邪魔になることが多くなってきたのです。
制止することでは止まらない
「しぃ~!」「やめなさい」「静かに」など、行動を止めるような指示では、息子の独り言は止まりませんでした。
息子は独り言を楽しんでいるようなところがあったので、聞き入れたくなかったのでしょう。
それでも、最初のうちはどうすれば良いのか分からなかったので、「しぃ~!しずかに」と、言葉で制止していたんです。
それで止まることもありましたが、「しぃ~!しずかにぃー!」と、大声でオオム返しされて、余計に顰蹙をかったこともありました。
しずかにぃー!事件の
エピソードもあります
息子は校区の特殊学級(現特別支援学級)に就学したのですが、入学式は親学級の1年生と一緒の席でした。
式典は1時間前後あるので、ずっと静かにしていられるだろうかと、気が気じゃなかったです。
そして始まった入学式で、校長先生、来賓と祝辞が続き、最後の来賓祝辞が少し長かったんですよ。彼以外にも、ガサゴソしている1年生も出始めた頃です。
「しずかにぃ~!」
彼の声が、体育館中に響きました。
彼が「しずかに!」と言った相手は、一人で喋りまくってる来賓だったのでしょう。
冷や汗ものでしたが、息子は自分が「しずかに!」と、言われてきたことで学習したのだから、責めることもできない出来事でした。
独り言を止めずに止める方法
息子の独り言は勝手に出てしまうという感じでもなく、楽しんでいるようだったり、不安解消みたいな感じだったりでした。
彼にとってそんな独り言を「止めなさい」と、制止されるのは面白くないことですよね。
誰でも、自分が好きでやってることを止められるって、嬉しくないことでしょ。
なので、「止めなさい」と、止めるのではなく、どうするかの行動を示してやる方が、スッと受け入れやすかったりするのです。
息子の独り言や無駄口の対処法は、「沈黙」でした。
言葉の理解が未発達な息子にとって、「沈黙」だなんて難しい言葉のように思えるのだけど、行動と結びつけられれば、端的な指示語になったのです。
もちろん、すぐに理解してできるようにはならなかったです。
独り言や無駄口を始めた時には、「沈黙」のカードをサッと出して気付かせることを、特に家庭での個別学習時に取り組みました。
「沈黙」カードは、行動を整えるために個別学習で使っていた文字カードのひとつです。
彼は聴覚より視覚で判断する方が理解しやすく、むしろ言葉で指示すると反発して大騒ぎになる傾向が強かったからです。
私自身も、言っても聞こうとしなければ声を荒げてしまい、冷静になれないからということもありました。
無言で、「沈黙」カードを彼に見せることで、彼がハッと気付くように仕向けていったのです。
最初のうちは、カードを出すと「ちんもく、ちんもくよぉ~!」と喚いていましたけど、彼の大騒ぎは無視して、淡々とした態度で接することに努めました。
譲らずに続けていくことで、息子は「沈黙」のカードが示されれば、静かにすることなんだと、自分がとるべき行動として理解するようになったのです。
おかげで、映画館や音楽会などへも行くことができるようになりました。
気付かせる工夫をする
独り言がおかしな行動であり、迷惑をかけることもあるということを彼は知らなかったという部分もありました。
小学校高学年の頃には、場所をわきまえずに独り言をいうことは減っていたのですが、フッと気を抜いたときには、まだ独り言が出ていたのです。
どうすれば気付くかな?
そこで、彼に気付かせるために、私が独り言で変なことを言ってみたりもしました。
突然、変なことをブツブツ言い始めた私に、「お母さん、どうしたの?おかしいよ。」と。
そんな事を繰り返しながら、6歳ころから始まった独り言は、中学生になるころには殆ど気にならなくなっていました。
現在は、自分の部屋で一人のときに言ってるだけです。
まとめ
4歳まで言葉らしき言葉がなかった息子でしたが、言葉を獲得すると独り言を言うようになり、言葉が邪魔にさえなってきました。
大人になってからの独り言は、おかしな人怖い人と思われる可能性もありますから止めたかったです。
でも、「しずかにしなさい」などの制止では、彼の独り言は止まりませんでした。
息子の独り言を止めることができたのは、止めずに止めることだったのです。
独り言を言っているときに、取るべき行動を示してやること、彼の場合は「沈黙」でした。
もちろん、すぐにできるようにはなりませんから、根気よく取り組む必要はありますが、どうすべきかの行動を教えていく方が抵抗がありません。
また、同時に独り言がおかしな行動で、迷惑をかけることもあると気付かせていくことも必要でした。
すぐに止めることはできないですが、大人になったときのことを見据えて、独り言は止めておきたいですね。
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