自閉症の子に限ったことではありませんが、自分の思い通りにならなくて我慢できないことってありますよね。
ただ、自閉症の子の場合、抵抗がひどくて大騒ぎするので、自閉症のせいで我慢できない、忍耐力がないと思うこともあるかも知れません。
息子の場合、とにかく我の通し方が半端なかったんです。
普通でも我の強い子っていますから、自閉症のせいで我慢できないわけではないんですが、育ち方しだいで、大人になっても自制できない人になってしまうかもしれません。
私の息子は、危うくそんな我慢できない人に育ってしまうところでした。
そんな子育て経験を踏まえて、自閉症と忍耐力についてまとめています。
自閉症だから我慢できない?
自閉症だから我慢できないとか、忍耐力がないとか、できないことを何でも自閉症のせいにするのは違うと思っています。
自閉症でなくても我慢できない子どもって結構いますよね。
大人になっても我慢できない人は、自閉症の人に限らないですから、やっぱり、どんな育ち方をしたかだと思うんです。
ただ、自閉症の子は我慢できないときの抵抗が大きくて大騒ぎになるので、それを何とかして止めたいことも多くて、親が負けてしまうこともあります。
自閉症だから我慢できないのではなくて、我慢できない子に育てているのかもしれません。
息子の場合は正にそれでした。
我慢できないときの大騒ぎが酷かったので、腫れ物に触るような関わり方をしてしまったんです。
自分の育て方のせいだったと気付かされたのは、息子が7才のときでした。
それからは、我慢させることも彼を社会人として生きていけるようにするための訓練だと思って、「もういいよ。」と言いたいところを我慢しながらの子育てでした。
子供の忍耐力を育てるには、親も我慢が必要だったんです。
忍耐力を付けておくことは必要?
自閉症であろうとなかろうと、忍耐力を付けておくことって必要ですよね。
何でもかんでも自分の思い通りになんかならないのだから、穏やかに我慢できるかどうかで、生きていきやすさが違うと思います。
何のために忍耐力を育てる必要があるのか、目的があるとブレないのではないでしょうか。
- 家族と平和に暮らすため
- 社会参加するため
- 仕事ができる人になるため
- できるだけ自由に生きるため
ざっくりとだけど、私にはこんな思いがあったんです。
家族と平和に暮らすため
一番は家族と平和に暮らすためですね。
ずっと関わっていくのは家族、一番長い時間を共に過ごすことになるのだから、息子も家族も穏やかな気持ちで過ごせた方が良いでしょ。
息子の大騒ぎに振り回されながら生活するなんて、まっぴらごめんです!
社会参加するため
社会に出ると、思い通りにならないことや予期せぬことがたくさんあります。
その度に大騒ぎしていたのでは、外の世界に出ていくことができません。
社会に出ると、人と関わることは避けられないですし、誰かに助けてもらわないといけないこともあります。
我慢しなきゃいけないときもきっとありますから、そんな時のために忍耐力を育てておきたいと思いました。
仕事ができる人になるため
学校卒業後は、一般企業であれ作業所であれ、何らかの仕事に就くことになります。
仕事となると指示通りのことができないといけないですし、嫌いなこともあります。就業時間内は自分勝手な行動はできません。
給料をいただくのですから、我慢しないといけないことがたくさんありますよね。
私は息子を仕事ができる人に育てたかったので、我慢できること、忍耐力を付けることは必須だと考えました。
できるだけ自由に生きるため
小学校1年生になっても言葉の理解力が弱くて、発語も生活に密着したわずかな語彙で2語文だった息子がどれほど成長できるか、正直のところ想像できませんでした。
かといって希望を捨てたわけじゃありません。
誰かに付き添われることなく、彼ひとりで外の世界で自由に行動できる人になってほしいと思っていました。
忍耐力を育てることは、そのために必要なことの一つでした。
忍耐力を育てるために!
自閉症の息子の忍耐力を育てるために、まず必要なことは、親の覚悟だと思います。
子どもの大抵抗に負けそうになってしまうこともありますから、忍耐力を育てるためというか、何をするにしても一貫した親の姿勢が肝心だったんです。
どんな覚悟をしたのか・・・。
- 投げ出さない
- 避けない
- 譲らない
個別学習や家事、日常生活の中で実行していきました。
何か問題があったときだけに我慢させるのではなく、課題学習に取り組ませながら忍耐力も育てていけるんです。
投げ出さない
理解力が弱く、手先も不器用、言葉で表現することも未熟な自閉症の息子に学習させることは、取り組みを始めた当初はとても困難でした。
彼がどんなに頑張っても絶対にできない課題を与えると、頑張った末に投げ出すことになりますから、課題の工夫は必要でした。
私は彼を指導することを投げ出さない。息子には課題を投げ出させない。
難しくて、終わりにしたくて、泣き叫ぶこともあったんですけど、そんな姿を見て中断しないこと、投げ出さないことを貫く覚悟が必要です。
といっても、それが一生続くわけではありません。
息子の場合は手がつけられないほどの大騒ぎは、一ヶ月間ほどでした。
その後も小騒ぎはあったんですけど、少しずつ自制できるようになっていったので、学習しやすくなっていったんです。
避けない
得意で好きなことには、誰でも抵抗がないですから我慢することもないですよね。むしろ進んでやりたいくらいです。
でも、苦手で嫌いなことは、自閉症でなくても誰だってやりたくないですよね。
それでも苦手を克服しようと頑張る人も多いです。
ですが、自閉症の子は苦手を克服するために、自ら挑戦して頑張ったりはしないでしょう。
苦手なこと、嫌いなことをさせようとすると大抵抗で逃れようとします。
苦手で嫌いなことをさせようとしなければ、そんな大騒ぎにならないので、手っ取り早い解決策は避けることと思うのが普通かもしれません。
嫌がることをさせるからストレスになって大暴れするんだと非難されたこともあるんですけど、私は苦手なこと嫌いなことに挑戦することで忍耐力がより育つと考えました。
息子の成長を見てきて、苦手に挑戦する取り組みは正解だったと実感しています。
得意なことと苦手なことを組み合わせながら、苦手を避けない、避けさせない取り組みが必要だと思います。
譲らない
絶対に避けたいのは、子どもの泣きや大騒ぎに負けて譲ってしまうことです。
一度譲ってしまえば、泣けば逃れられる、嫌なことは大騒ぎすればしなくてよくなる、と、子どもに学習させてしまうことになります。
私は、息子が幼少期の頃には負けて譲ってしまうことが多かったので、息子の大騒ぎはエスカレートしてしまいました。
対応を間違っていたことに気付き、譲らないことを徹底したのですが、7歳になってましたから大抵抗の日々が続いたので、譲ってしまいそうになったこともあります。
でも、心が折れそうで譲ってしまいそうでも最後まで譲らずやり切ることで、育つ心があることを体験しました。
あと、わがままを通そうとしている時にも譲らないことです。
まとめ
我慢できないとか、忍耐力がないとかは自閉症に限ったことではありませんよね。
ただ、自閉症の子は抵抗が大きく、思い通りにならないときに大騒ぎになったりすることも多いです。
成長と共に、そんな大騒ぎが消失すれば良いですが、何も対処しなければ身体が大きくなり力が強くなるにつれて、増大するかもしれません。
なので、忍耐力を育てる取り組みは必要だと考えました。
何のために必要かというと、息子の将来のためです。
- 家族と平和に暮らすため
- 社会参加するため
- 仕事ができる人になるため
- できるだけ自由に生きるため
息子の忍耐力を育てるためには、課題学習と取り組むときの親の覚悟が必要でした。
- 投げ出さない
- 避けない
- 譲らない
何をするにしても、この3つを貫きながら、様々な課題学習や問題に対面しながら、投げ出さない、避けない、譲らない姿勢を貫くことを心がけていました。
とはいえ、完全にできたわけではなく、感情に任せて失敗したこともあったんですけどね。
32歳(執筆時)になった息子は、家族と共に暮らしながら一般企業で働き、休日には一人で外出して買い物や映画を楽しんだりするまでになりました。
支援なしで生活できるまでにはならなかったんですが、時間や場所限定で自由に生きることができています。
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