障害年金には所得制限があります。そして、毎年提出を求められる届出もあります。
彼に自分で提出させたいなぁ…
20歳になったら受給できる障害年金は、所得がある場合は毎年、所得状況届の提出が必要なのです。でも、年に1度のことを息子に教えるのは難しい。
今年も7月上旬に、障害基礎年金の「受給者所得状況届」提出のお願いが、市役所から届いたので、この手続を自閉症の息子にどう教えてきたのかお話しします。
障害基礎年金の所得制限はいくら?
一般企業に就労している自閉症の人も多く、息子も正社員として就職しています。
正社員と言っても、障害者枠の雇用なので最低賃金の時給制ですが、残業が多く年収は200万円前後あります。
これだけ給料があったら、障害年金は受給できないのでは? と、思うかもしれないですね。
実は、障害基礎年金の所得制限は、もっと高額なんです。年度によって改正があると思いますが、平成29年度は以下の通り。
■3,604,000円を超える場合
年金額の2分の1が停止
■4,621,000円を超える場合
年金額の全額停止
息子の場合、昇給があったとしても定年まで所得制限を超えることはないでしょうね。
ですが、所得があるので、所得状況届の提出が毎年必要なのです。
所得状況届をどう教える?
勤務先から市町村に給与支払報告が提出されていれば、所得があることは分かっているので、毎年7月上旬に届く書類があります。
「国民年金 受給権者所得状況届 提出のお願い」です。
息子に自分でやらせようと思いましたが、これだけの書類を読解して手続するのは、彼には無理なのです。
これをどう教えるかで悩みました。年に1回のことを教えるのは難しいんです。
1年目、2年目は、記入するところを指示しながら書かせて、切手を貼りポストへ投函することを教えたんです。
そして3年目、指示しなくてもできるかな? と、期待していたのだけど、自分の住所氏名は書けても、宛先が書けないんです。
県内の市町村役所の一覧表で教えると書けますが、そもそも一覧表が何のためにあるのか、理解していません。
う~ん、どうしたものか。
今後、様式が変わる可能性もある。
そこで、色々と考えた末に決めた方法は
「この手紙が来たら市役所へ持って行く」です。
3年目:年金窓口まで母が付きそう4年目:年金窓口の後ろまで付き添う
5年目:年金窓口の後ろまで付き添う
6年目:ロビーまで付き添う
7年目:ロビーまで付き添う
8年目:駐車場まで付き添う
そして今年(平成29年)の7月9日のことです。
「あの、年金のはがきは?」と、息子が尋ねてきました。
おぉ!覚えていたんだ!
そういえば、最近、郵便受けをチェックしていたのはコレだったのか!
あいにく、息子が郵便受けをチェックする前に、お父さんが取り込んでいたので、彼自身が書類が届いたことを確認はできなかったのですけどね。
平日に定休日があるので、9年目は彼一人で自宅から自転車で、市役所へ持って行かせようと思います。
結果は、後日に報告しますね。
「この手紙が来たら市役所へ持って行く」結果市役所へ持参する封筒に、担当者宛のお願いメモを添えて、息子ひとりで手続きに行かせました。
成功です!
自宅から市役所まで約3km、自転車で行って手続きをしてきました。
制度が変われば、また初めからやり直しになると思うのですが、1からやるよりは簡単に覚えると思います。
届出の書式が変わっても、何も書かずに市役所の窓口で教わりながら記入するので、この方法が彼には一番わかりやすいのです。
先日、知人に「どうしてる?」と聞かれて、この方法で練習させてると答えると、「やっぱり!うちも同じことしてる!」と、二人で大笑いしました。
小さいころから、予定表で行動をコントロールすることをやってきたので、年に1回の予定でも、彼は自分スケジュールに組み込めたようです。
[追記]
令和元年度から、この届出は不要になったのですが、7月上旬になると「お母さん、はがきは?」と、年に一度のことをしっかり覚えていました。
せっかく覚えたんですけどね。制度が変わるたびに教えることが増えます。
面倒な手続きは親がやりゃいいじゃん?
面倒な手続きは、親がやれば良いんじゃないのって言われる方もいます。
親が歳をとってできなくなったときはどうするの?
将来は施設やグループホームに入っているかもしれない。その時は、施設側で支援してくれるだろう。
でも、在宅支援を受けながら地域で生活しているかもしれない。姉たちの助けを借りながら生活しているかもしれない。
どうなるか分からないけど、彼が自分で注意を払いながら、自分でできることを可能な限り育てておくことで、彼の自由が広がるのです。
また、大人になっても続く子育ての基盤は、成人するまでの育て方にあると思っています。
どうすれば彼に届くか、ずっと観察してきたので、対策が浮かびやすいですし、息子は息子で、素直に教わる姿勢ができているからです。
まとめ
療育手帳が交付されている自閉症の人が20歳になると障害基礎年金が受給できます。
障害基礎年金には所得制限がありますが、この制限を超えるほどの給料をもらっている自閉症の人は、ほとんどいないでしょう。
所得がある場合には、毎年、「所得状況届」の提出が必要ですが、親がやってしまうのではなく、息子が自分でできるように教えようと考えました。
でも、年に1度のことを教えるのは難しいです。
息子に一番わかりやすく教えやすかったのは、封書が届いたら、それを持って市役所へ行くことでした。
親がやってしまえば簡単なことなのですが、親はいつまでもフォローできませんから、可能な限り彼が自分でできることを増やしておきたいのです。
いずれは、支援制度の利用も考えないといけない時期がくるとは思っていますけどね。