自閉症は接し方次第で好ましく育ちますが、関わり方を間違えると二次障害を引き起こすことにもなります。
良かれと思ってしていたことが逆効果だったんです。
息子が幼少期の時期には大きな考え違いをしていたため、扱いにくい子に育ててしまった経験があります。
そんな失敗談と自閉症の育て方についてお話しします。
自閉症の接し方はどうあるべきか
私は、息子が幼少期の時期に、正反対の接し方をしていたため、頻繁に癇癪を起し乱暴で扱いにくい子に育ててしまいました。
そのことに気付かされ、接し方を180度変えたのが息子が7歳のときで、その後、接し方を変えたことで、彼は自閉症でありながらも好ましい青年に成長できたのです。
そんな子育て体験から、自閉症の接し方はどうあるべきか、私なりの考え方です。
自閉症の接し方
- 共感しながら育てる
- 予定を伝える
- 問題行動を避けない
- 家庭も社会集団
- 大人扱いで育てる
- 母親主導で育てる
- 暴力で制しない
自閉症の場合、すんなりできないことの方が多いですが、特別なことはなく、普通の子育てを丁寧にしただけでした。
息子との接し方も一筋縄ではいきませんでしたが、そんな体験から得た自閉症の接し方について、詳しくお話しします。
共感しながら育てる
例えば、言葉が通じない外国で、頼る人もなく一人で放り出されたら、不安になってウロウロしてしまいませんか?
程度の差はあるのだけど、同じだ!って思えることがあると思います。
自閉症の子がウロウロしてしまうのは、言葉の理解や状況判断ができない不安からだと共感できれば、何を教えていけば良いのか見えてきます。
共感できれば、ウロウロする行動も、かわいいとさえ思えてきます。
予定を伝える
癇癪を起したり多動になったりするのは、状況判断が難しいため不安になってしまうことも原因になっています。
特に、おわりが分からないと誰でも不安になるでしょ!
そこで、「はじめ」と「おわり」を分かるようにしてやったり、前もって予定を教えておくことで、不安が軽くなり行動が整ってきます。
問題行動を避けない
嫌なことや困ったことがあると、癇癪を起しパニックになることも多いですよね。程度の差はあれ、自閉症に限ったことではないです。
ただ、自閉症の場合は大騒ぎになることも多いので、避けたくなります。
でも、避けていたらいつまで経っても解決できないんです。
問題が起こしながら解決方法を探っていく方が、将来、社会に出た時に柔軟に対応できる人に育つのです。
身体が大きくなってからだとパニックもダイナミックになり手がつけられなくなりますから、小さいうちから経験を積ませておく方が育てやすいです。
家庭も社会集団
自閉症の場合、外と内の区別ができにくいです。
例えば食事。好きな食べ物を欲しがるからといって、他の家族の分まで与えていたらどうなるでしょう。
欲しいものは食べて良い習慣がついていると、外食したときに隣のテーブルの食べ物を欲しがって騒いだり、時には掴んで食べてしまったりします。
止める間がないほど素早いんですよ。
外ではダメなことを家庭では許していると、外と内の区別ができにくい自閉症の子は、外出したときに困ることになります。
家庭は一番小さな社会集団です。外で通用する最低限のマナーは、家庭でも教えていくことですね。
大人扱いで育てる
実年齢より発達年齢が幼いと、年齢よりさらに子ども扱いしてしまいがちになり、年齢に相応しくない幼稚な行動をするようになります。
他のページでも書きましたが、言葉使いや立ち居振る舞いを、場所や相手によって使い分けることも苦手です。
上司に質問されて「ピンポーン!」なんて答える人になってほしくないですよね。
大人になってからの人生の方が長いですからね。使い分けが難しいのなら、大人になっても不都合がない言葉使いや振る舞いを教えておく方が良いです。
ですます調の丁寧な話し言葉で接したり、「○○さん」とさん付けで呼ぶなど、話しかける言葉を変えるだけで、接し方が変わってきます。
母親主導で育てる
癇癪を起すと、子供の機嫌を取ってしまいがちになりますよね。
思い通りにならない、気に入らない、そんな場合に思い通りにする手段として大騒ぎすることがあります。
そして、根負けしてしまい子供の言いなりにしてしまうこともありません?
普通の子育てでもありますよね。
お母さんは騒げば、わがままが通ることを覚えてしまうと、子供主導の関係になります。
子供主導の関係だと、療育指導していくのが困難ですし、学校や職場でも嫌なことは騒いで避けようとするなど、素直に教わる姿勢が育ちにくいです。
ルールを守る。約束を守る。やると決めたことは最後までやる。など、家庭での個別学習で、決して譲らず取り組んでいくことで、母親主導の信頼関係が育ちます。
暴力で制しない
言うことを聞かないと、叩くなどの身体の痛みで制するのは厳禁です。
子供にこの手段を教えているようなものなんです
思春期頃には、子供の体格はお母さんより勝ってきますよね。ポンと押しただけでお母さんが倒れたら、その瞬間から子供を制することができなくなります。
根気が必要ですが、日々の接し方で、気持ち的に子供を制することができるように育てていれば、大人になっても良い関係が続きます。
- お母さんが喜ぶ
- お母さんに感謝される
- お母さんが悲しむ
- お母さんが困る
こんな体験をいっぱい与えながら、子育てすることです。
達成感を与える
できない体験ばかりさせると、子供の意欲はなくなりますし、辛いことばかりになってしまいます。
どんなこともすぐにできるようにならないですから、達成感を与えるのは難しいように感じますが、やり方次第で毎日達成感を味合わせることができるのです。
観察と工夫は欠かせないですよ。
- 決めたことは最後までやらせる
- 少し頑張ればできることをする
- 簡単にできることばかりにしない
- 上手くできなくてもほめる
難しそうだからと途中で中断すると、辛かったことしか残りません。最後までやらせて、がんばったことを誉めましょう。
「おわり」を分かるようにしておくことも必要です。
少し頑張ればできることを課題にするためには、観察力も必要です。少しずつステップアップしながら、簡単にできるようになったら少し難しくするのがポイントです。
絶対できないことをやらせてはダメです。
簡単にできることばかりだと達成感が薄くなります。簡単なことも混ぜながら、少し難しいこともしていくのがポイントです。
課題をやっていると、上手くできないことの方が多いのですが、上手くできなくても最後まで頑張ったことを褒めること。
ご褒美におやつをあげるなどにしない方が良いです。ご褒美は「ほめること」です。
お母さんに褒められた。お母さんが喜んだ。そうした気持ちのつながりで、母親主導の関係も育っていきます。
失敗だった接し方が招いたもの
私は、息子が幼少期の頃は大きな考え違いをしていて、とても扱いにくい子に育ててしまっていました。
気付いたとき、彼は小学校1年生でした
どんな考えだったか
- 知的面を伸ばせばよくなる
- 好きなことだけ伸ばせばよい
- パニックになることは避けよう
気に入らないことや思い通りにならないと、泣きわめいて大騒ぎになり、手がつけられなくなるので、息子が機嫌よく過ごせるように配慮していました。
また、息子の発達が遅れているのは、言葉の理解など知的面の遅れのせいだと思い、文字や数字、計算などの学習をさせれば追いつくと思っていました。
嫌いなことは抵抗が大きいので、好きなことを伸ばしていけば良いと思っていました。ただ、彼が好きなことが分からなかったのですけどね。
その結果どうなったか
7歳の時に療育センターで受けた発達検査で、知的面を伸ばしてきたつもりの思い上がりが崩れ去ったのです。むしろ邪魔にさえなっていたんです。
- 得意なことはサッサとする
- 言われないことまでしてしまう
- 苦手なことは喚き散らしてやらない
- 始終ひとり言を言っている
私は、息子が言葉を獲得し始めた4歳すぎから、彼の知的面を伸ばすことに躍起になっていました。
当時、姉たちが通っていた公文の塾は親戚が経営していたので、家庭学習用にプリント教材をもらって帰る通信生にしてもらい、学習を始めたのです。
ひらがなが読めたり書けたり、簡単な足し算ができたりと、私なりに成果を感じていたんです。一語分、二語文ですが話し言葉も増えていました。
機嫌さえよければ、発達検査も上手くいくだろう。そんな浅はかな期待をしていたんです。
がんばって育てましたねって言われたかった。
でも、発達検査で分かったことは、社会に出たとき役に立つ人ではない。マナーを教えずに育った知識は邪魔にさえなる。
こんな態度のまま、知識を与えるなら、むしろ教えない方がよい。
教えるべきことは知識なんかじゃなかったんです。
「息子の人間性を育てること」だったのです。
私の自信過剰を打ち砕かれた記念日になり、その後は、彼を心豊かな人に育てることに注力するようになったのです。
軌道修正に大抵抗するも一時だった
息子とどう関わっていくか、根本から考え方を変えたので、息子は大抵抗の日が続きました。
大泣き、大騒ぎ、逃げ出す、暴れる、などなど、祖父母に「そんなに泣かすな!」と、詰られることもありました。
息子も辛かったと思いますが、私も精神的にいっぱいいっぱ状態だったのですが、ここで投げ出したら、辛かっただけになる。
泣き叫ぶ息子を見ているのは辛かったです。
息子の大抵抗に怯むことなく決して譲らずに接することを続けて、一ヶ月ほど経った頃には、彼の抵抗は小抵抗に変わっていました。
家庭での療育指導は、工夫と根気が必要でしたが、本当の意味で正面から息子と向き合うことができて、家庭療育ができるようになったのです。
まとめ
自閉症の子は接し方ひとつで、良い関係を作ることができて、家庭療育も上手くいきます。
幼児期の失敗体験を踏まえて、関わり方を変えた結果、息子は好ましい青年に育ちました。
そんな子育て体験から行きついた、私なりの自閉症の接し方は次のようなことです。
- 共感しながら育てる
- 予定を伝える
- 問題行動を避けない
- 家庭も社会集団
- 大人扱いで育てる
- 母親主導で育てる
- 暴力で制しない
これは、自閉症の子に限ったことではなく、普通の子育てでも同じだと思います。