自閉症の我が子をどう育てれば良いのか分からない。不安と焦りに追い詰められ心が折れそうになることもあります。
でも、最初から上手くできる親なんていません。
良いと聞いたことをあれこれ試してみることもあれば、何もできずに辛いだけの日々が過ぎることもあります。
私も例外なく右往左往して落ち込んでました。
自閉症の子は一度身に着いたことを修正するのは難しいので、育て方を失敗したくはないのですが、完璧にできる親なんていないと思います。
特に、幼少期は関わり方も分からず途方に暮れるばかりでした。
私が本当の意味で自閉症の息子と向き合えたのは、彼が小学校1年生のときでした。
そんな私が、どのようにして自閉症の息子の療育に取り組んだのか書いています。何かのひとつでも参考になることがあると幸いです。
自閉症療育はいつから?
私の息子は、32才(令和2年時年齢)になりました。
今もまだ、できないことがたくさんあるので、療育は一生続くと思っていますが、がっつり向き合って療育する時期は過ぎました。
年齢的にがっつり療育するのは無理ですしね。
前述しましたが、私が息子の障害にきちんと向き合えたのは、彼が小学校1年生の1学期なので、決して早いとは言えません。
軌道修正はかなり大変だったので、そんな経験も踏まえて私の思うところを書いていきますね。
自閉症療育は早い方がいい?
幼児期の自閉症児は、どう関われば良いのか分からず途方に暮れてしまいます。
いつも不機嫌で、癇癪を起しやすいので、できるだけ機嫌を損ねないように関わっていないでしょうか。
もしそうなら、ご機嫌とりは今すぐやめた方がいいです。
機嫌を取ることで、その時は扱いやすくなるのですが、その弊害はあとになって出てきます。
実際、7歳になったときの息子は、野生動物のようでした。
「三つ子の魂100まで」ということわざがありますが、正にその通りで、野生動物のような息子の軌道修正は大変だったんです。
そんな経験があるので、自閉症療育はできるだけ早い方が良いと思います。
自閉症と診断されないと療育できないの?
親が「どこかおかしい」と感じ始めるのは1歳前後だと思います。息子の場合は生後10ヶ月くらいでした。
でも、その時期に病院で診てもらっても、自閉症と診断されないと思います。
ちなみに、息子が自閉症と診断されたのは5歳でした。
はっきり診断されるまで、複数の病院で診てもらったんですが、「自閉傾向があるので様子を見ましょう。」と言われました。
当時の私は、息子の障がいは何なのか、どう育てれば良いのか、診断と治療方法が分からないと育てられないと思っていたんです。
なので、息子の障害が何なのか、知りたかったんです。
でも、自閉症であってもなくても、発達が遅れていることは感じていたので、発達障害があると認めて関わっていくことはできたはずなんです。
今だからそんなことが言えるんですけど、分かっていても、どこかおかしいと感じ始めた頃は冷静にはなれないのが普通かもしれません。
私は、この時期にうまく育てられずに失敗ばかりしていました。
失敗を繰り返した経験や、その後息子と向き合って療育に取り組んできた経験から、「自閉症と診断されなくても療育はできる!」と実感しています。
遅くとも何歳から療育を始めるべき?
私が本当の意味で息子と向き合って療育を開始できたのは、彼が7才の誕生日を迎えたばかりの小学校1年生のときでした。
これ以上遅くなっていたら軌道修正は難しかったと思います。
子どもの個性や生活環境などによっても違うと思うんですけど、息子の場合の療育開始のタイムリミットは7才でした。
年齢が高くなっても療育できないことはないんですが、一度身に着いたことを修正していくのはとても難しいので、早い方が良いですね。
特に、社会性と言いますか、マナー的なことは、子どもの癇癪やわがままに振り回されずに育てておく方が、その後の療育も楽にできるようになります。
幼少期に息子の機嫌を取りながら子育てしていたせいで、7歳になってから大騒動で軌道修正することになり、毎日が戦いだったんです。
なので、私みたいにならないように、育ててほしいです。
自閉症療育は誰がするのがベスト?
結論からいうと、自閉症療育は親がするのが一番です。
以前より、行政の支援制度も充実してきたので、親の負担は軽くなったのかもしれません。
それはそれで良いことだと思うんですが、逆に弊害もあるように思います。
3年ほど前に、私の療育を支えてくださった恩師にお会いしたとき、「親の意識が変わった。ツーカーと通じなくなった。」と、おっしゃっていたのを思い出します。
支援に頼りすぎていて、親が自分で育てようという意識が弱くなっているそうなんです。
専門家に頼ることしか考えられなかった
実は、私も専門家に頼ることしか考えられなかった時期がありました。
「専門家に指導してもらえば治る。学校に行くまでには普通になる。」そんな思いが強く、良い先生がいると聞けば、息子を連れて出かけていました。
でも、「まだ小さいから様子を見ましょう。」と言われるだけで、何も解決しなかったんです。
当時は、専門家でないと療育はできないと思い込んでいたんですが、もし、そんな先生に出会えたとしても、月に1、2度、数時間の指導ですよね。
専門家に関わってもらえる時間なんて、ほんのわずかなんです。
一貫して関われるのは誰なのか?
自閉症の息子に一番長く関わるのは、やはり親ですよね。
どんなに良い先生に出会っても、担任でなくなれば関わることはなくなります。
担任が替われば指導方針が違うので、一貫性はありません。
親は、学齢期が終わっても共に生活していれば、ずっと関わることができます。
成人してからも、社会に出ればトラブルを引き起こすこともあるので、そんなときの対応も一貫して関わっていれば、上手く乗り切ることができるんです。
実は、私は、息子が7才の時に出会った恩師に、「あなたが育てなさい。息子専属の最良の指導者になりなさい。」と、一括されたんです。
「私が育てる!」と、覚悟を決めて彼に向き合えたのは、その時からですね。
ただ、覚悟ができたものの、何をどうすれば良いのかは、全く分かっていませんでした。
今すべきことに気付くために必要なこと!
自閉症の息子をどう育てていけば良いのか、今すべきことは何なのかを知るために、まず必要だったことは、期限付きの目標を決めることでした。
期限は学校卒業後の19才、目標はどんな人に育ってほしいか、です。
誰もが、学校卒業後の人生のために、子供時代に色んな事を学んで身に着けていきますよね。
自閉症の息子も同じです。
ただ、自分で決めることは難しいので、「どんな人に育って、どんな生活をさせたいか」を決めて療育の目標にしたんです。
大枠の目標は、「地域で働き家族と暮らす。」でした。
7歳当時の息子の状態からすると、かなり難しい目標だったんですけど、たとえ達成できなくても、12年間の努力で大きく成長することは間違いないと思ったんです。
目標を決めることで分かったこと
大枠の目標を決めたことで、できるようにしておかないといけないことが具体的に見えてきます。
例えば・・・
- あいさつできるようになること
- 分からないとき尋ねること
- 指示に従えること
- 一人で通勤すること
- お金を使えるようになること
- 何でも食べられるようになること
- 清潔にすること
- 時間が分かること
- 感謝すること
- 謝ること
などなど、具体的なことを上げるとキリがないほどあります。
「お金を使えるようにすること」一つとってみても、お金を数えることから始めて、1円玉10枚と10円玉が同じ価値ということを理解させる必要があります。
気が遠くなるほど細かく分析して繰り返し教えないといけないんですが、どうすれば分かるだろう、と、試行錯誤するのはやり甲斐がありました。
問題にぶつかって初めて分かることもたくさんあって、それを一つずつクリアしていくことが、その時々で今すべきことなんです。
すぐにできることはなかったので、時間をかけて解決していきました。
どんなことをどのように指導していたのか、具体的なことは別ページに書いていく予定です。
目標のおかげで焦りや迷いが軽減した
目標を決めたおかげで、息子の問題点を洗い出すことができて、何をしていけば良いのか見えてきました。
すぐにできるようになることは殆どなかったのですが、時間をかけてスモールステップでできるようにしていけば良いと分かったので、焦りや迷いが軽減したんです。
とはいえ、「教えても教えても、なんでできないの!」と、イライラしてしまうこともありましたけどね。
教えることが次々と湧いてくるので、休んでいる暇はなかったんですけど、小さなことでもできるようになったときはとても嬉しくて、子育てを楽しませてもらえました。
目標を決めて自閉症療育に取り組んだ結果
7歳のとき、学校を卒業し社会人として育ってほしい息子の姿を目標に、療育に取り組んだ結果は、100%達成できたとは言えませんが、ほぼほぼ叶いました。
養護学校高等部(現特別支援学校)を卒業した息子は、地元の企業に正社員として就職し、令和2年の現在で14年目になります。
一人暮らしできるまでにはなりませんでしたが、一人で外出したり、好きな趣味もあるので、彼なりに楽しんで生活できています。
トラブルを起こすこともあるんですけど、彼と向き合って療育してきたおかげで、解決しやすい関係が育っています。
がっつり向き合って療育してきた時期があったので、今が楽になっていることも確かです。
親の体力がある若いうちに、しっかりと向き合っておいて良かったと実感しています。
まとめ
自閉症の息子を療育してきた経験から、自閉症療育をするにあたって必要なことを、私なりにまとめてみました。
私が本当の意味で自閉症の息子と向き合って、療育できたのは息子が7才の時からでした。
もっと早くに気付いて取り組んでいれば、大変さが軽減していたと思います。
できれば早くから取り組んだ方が良いのですが、焦ったり迷ったり悩んだりする時期は、きっとあると思います。
子どもと一貫して関われるのは親ですから、そこを乗り切って、私が育てる!と覚悟ができたら、期限付きで療育の目標を決めると良いです。
目標を決めることで、問題点を洗い出すことができるので、今すべきことが見えてきます。
小さいうちの方が指導しやすいですし、親も若いうちの方が体力がありますから、期限付きの目標を決めて、療育に取り組んでみてはいかがでしょう。
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