「うちの子自閉症だから、こだわりが強くて…」そんな声をよく聞きます。
でも、誰でもこだわり持ってないですか?自閉症だから特別ってことないんじゃないの。
自閉症の特徴としてこだわりが取り上げられますが、こだわりって障害なのでしょうか?誰でも一つや二つの拘りってありませんか?
こだわりのせいで扱いにくい場合が多いのは確かですが、それは育て方にも原因があります。
今回は、自閉症の息子のこだわりを強化してしまった失敗経験や、こだわりに共感しながら育てる方法をお話しします。
こだわりがあるのは自閉症だけですか?
こだわりは自閉症の障害のような言い方をされることがありますけど、誰でもこだわりってありますよね。ない人の方が居ないんじゃないかと思います。
例えば、いつも行くカフェで、お気に入りの決まった場所があったりしませんか? その席が空いていれば必ず座る席、妙に落ち着ける席があったりするでしょ。
そういえば、学生時代の通学電車は、いつも同じ時間の同じ車両じゃなきゃ落ち着かなかったなぁ。
普通は、空いてなければ他の席で我慢するけど、こだわりが強い自閉症の子の中には、押しのけてでも座ろうとする。
まぁ、そこがちょっと問題だったりはしますが、こだわりの強弱が違うだけで、同じなんだと共感できませんか?
そして、その強すぎるこだわりは、育て方で変わってくるのです。
自閉症の息子が幼少期のこだわり例
自閉症の息子が幼少期には、訳の分からないこだわりがあり、家族が困ることもありました。
この服じゃないと絶対ダメ
3歳ころの彼は、白と紺色のボーダー柄の服しか着なかった時期がありました。
突然だったので、何がきっかけだったのか分からないのですが、泣きわめいて大騒ぎする理由が分からなくて困り果てました。
そうこうするうち、タンスの引き出しを開けて、服を全部引っ張り出して大泣きするので、なんか着る物で気に入らないことがあるんだと察しがつきました。
息子が幼少期の私は、まだ自閉症に関して無知でしたから、同じボーダー柄の服を何枚も揃えて、彼の機嫌を損ねないようにしていたのです。これ、大間違いなんですけどね。
僕の靴はこれだけなんだ
息子は、外に出る時に靴を履くことが、なかなか理解できなくて、裸足で外に出ていくし、履かせたら履かせたでドロドロに汚れた靴のままで部屋に上がってきていました。
普通は、すぐ覚えるでしょ。自分で履けなくても履かせてって待ってますよね。
クック履こうね!くらいでは理解しなかったんです。
3歳くらいになってやっと、外では靴を履くって分かったみたいですけど、手先が不器用なので自分で履くことを教えるのも根気が必要でした。
そして、こだわりは靴だったんです。スポッと履ける黒い靴だったのですが、それじゃないと履きませんでした。色違いでもダメなんです。
2歳10ヶ月で、保育所に預けたのですが、ここで靴のこだわりに困ったことが起こりました。
保育所では、室内では上履きを履かせるんですよね。なので、白い普通の上履きを用意したのですが、息子は当然履きません。
室内では裸足でもいいと思ったんですけど、「上靴を履いてないとケガをすることがあるから困る。」と、保育士さんに言われました。
でも、彼は白い上靴は絶対に履かないんです。履かせてもすぐ脱ぐので困ると・・・。
そう言われたら仕方ないので、「じゃあ、これを上履きにしてください。」と、外で履く黒い靴と同じ靴を用意したんです。
靴は外で履くものとやっと分かりかけた息子に使い分けが分かるはずはないし、四六時中、保育士さんが彼を見張ってることもできないですよね。
結局、外でも室内でも履く靴が2足できただけの結果になり、室内では裸足にさせてもらいました。
当時の私は、彼が機嫌よく過ごせるようすることが一番と思っていたのです。
上も下も同じ靴を用意するなんて、ほんとに無知だったなぁと、数年後に当時の対応の悪さを恥ずかしく思い出しました。
【自閉症こだわり】自閉症の息子のこだわりを強化してしまった対応と反省点
お姉ちゃんはここに居なきゃダメ
息子が4歳ころからだったでしょうか、姉たちに執着するようになったんです。
二人の姉は小学生だったのですが、朝、制服で出かけていくことは何ともなかったのですが、下校後は姉たちが外出すると大泣きしてたんです。
ただの大泣きではなく、声がかれるほど半端ない泣き方で帰ってくるまで泣き続けるんです。
なので、姉たちに学校から帰ったら、弟と一緒に居てやってほしいと、彼女たちに外出を我慢させたんです。
お姉ちゃんがいないと、Sちゃん怒るのよ。
姉たちも、弟の泣きが半端ないので、可哀そうだからと納得してくれました。
そんな日常が半年くらい続いたころ、上のお姉ちゃんがお友達のお誕生会に誘われたから、妹を連れてどうしても行きたいと言ってきました。
ずっと我慢してくれたお姉ちゃんたちの申し出に、ダメなんて言えなかったです。
「いいよ。行っておいで。」「えっ?いいの? Sちゃん怒らない?」
お姉ちゃんは、言っても無駄だろうけど、と思いながら、遠慮がちにお願いしてきたんです。
私は、娘たちにこんな思いをさせていたことに気づかないバカ親でした。
お姉ちゃんたちは大喜びで友達のお誕生会に出かけました。
そして息子はというと、姉たちが帰ってくるまで3時間ほど、声をふり絞って泣き続け、顔には無数の血の斑点ができていました。
4歳過ぎから聞き取りやすくなっていた彼の声は、この後半年間、上ずったような発声になってしまい、まともに声が出なくなったんです。
最初から、お姉ちゃんたちに外出制限なんかしなければ良かったのに、大きな考え違いから、息子のこだわりを強化していたんです。
今思えば、なんてバカな親だったんだろうと、当時の私に呆れてしまいます。
育て方でこだわりが強化する
息子は赤ちゃんのときから、縞模様の服や黒い靴にこだわりがあったわけではありません。
4歳前まではお姉ちゃんがお出かけしても、大騒ぎすることもなかったのです。
何かのきっかけで、それらのことが彼の安心材料になったのではないかと思います。でも、最初はほんのちょっとのこだわりだったはず!
そのこだわりを強化したのは、私が彼のお気に入りを常に維持できるようにしてやったことでした。
彼のこだわりを強化したのは私でした。
不機嫌なことが多かった時期なので、息子が機嫌よく過ごしてくれることが私にとっての平穏だったのです。
そのことに気付いていれば、家族が窮屈な我慢をしたり、困ったりすることがもっと減っていたのではないかと思います。
まとめ
自閉症のこだわりは、それが障害のせいのように言われがちですが、人は誰でもこだわりを持っています。
自閉症だからこだわりがあるのではなく、人としてみんな同じに持っているものだと共感できれば寄り添えます。
自閉症だから変なこだわりがあるんだと決めつけてしまうことで、考え違いの関りをしてしまうことが、こだわりを強化してしまい、周りの人を困らせるようなこだわりになってしまうこともあります。
社会に出た時に周囲を困らせるようなこだわりは、マナーとして教えていかなければいけないですが、人に迷惑がかからないこだわりならあってもいいじゃないですか!
ママも同じだなぁ、と、共感しながら、こだわることを見極めて育てることだと思います。
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