自閉症の子は感覚過敏、特に触覚が過敏だと散髪ができないですよね。
息子の場合も散髪が
とても大変でした。
自閉症じゃなくても、乳幼児期の散髪が大変だったりしますけど、触覚が過敏な自閉症の子は、ちょっと大変くらいじゃないです。
「じっとしてて!」なんて言っても聞き入れることはないので、危険さえあります。
息子も触覚が過敏すぎて、散髪にはほとほと困っていました。
そんな息子も、今では床屋さんでカットしてもらってますし、散髪の時期も自分で見計らって一人で行っています。
寝ている間にしかカットできない
散髪ができない自閉症児の場合、寝ている間に散髪するお母さんが多いですよね。
寝ている間にしたら、お布団とか毛だらけになって大変じゃない? と、思われるでしょうが、他に方法がなかったんです。
夜だと、灯りをつけた瞬間に起きてしまうので、お昼寝時間が散髪タイムでした。
1日でカットしてしまうことはできないので、目を覚ますまでの短時間で、3~4日かけて切るんです。
初日のカット後は、外に連れ歩けない虎刈り状態です。
なるべく触覚刺激が少なくなるように、ハサミで少しずつチョキチョキやるのですが、できるだけ短く切って、散髪する間隔が空くようにしてました。
首筋などの特に敏感なところは後回しで、櫛をそっと当てながら、できるところまでして終了ですよ。
お昼寝布団が髪の毛だらけになるので、散髪しようって決めた日は、寝かせる前にバスタオルを敷いておきます。
寝入ったら、髪の毛が散らばらないように新聞紙をできるだけ頭の近くまで広げておき、目が覚めてカットできなくなったら、即掃除機をかけるんです。
冬場はちょっとできないですが、息子には即シャワーです。彼は水遊びが大好きだったので、これは難なくできました。
でもね、こんな散髪をいつまでも続けているわけにもいかないと思うようになったのが、息子が3歳すぎの頃だったと思います。
触覚過敏を慣らす感覚統合訓練
3歳前くらいから、感覚統合訓練に通っていたのですが、検査の結果、息子は触覚が過敏すぎると診断されました。散髪し辛いのも触覚過敏のせいだと。
病的というほどではなく、くすぐったがりが酷い状態といったら良いでしょうか。
自閉症でなくても、皮膚刺激に敏感な方はいますよね。
なので、自閉症のせいだとは思えなかったのですが、言葉が通じない時期だったので、刺激に対する反応が余計に強かったのではとも思います。
訓練の先生から、触覚過敏を慣らすために、家庭でできる感覚統合訓練を教わりました。
その訓練方法とは、柔らかい筆とか刷毛などで、彼が特に敏感に感じる部位を、そっと撫でることでした。
また、フッと息を吹きかけるなどの感覚刺激も与えていくと良いとのことで、小さな用具を使ったりもしました。
デスクの埃を空気で飛ばすような、小さな文房具とかあるじゃないですか、そういった用具を探して利用していました。
訓練するよ~と、構えてするのではなく、不意にやる感じで、1日のうちに数回、短時間で刺激を与える感じです。
最初のうちは、嫌がって払いのけたりしていましたが、続けているうちに触られる感覚を楽しむようになった時点で止めました。
なんか、異様なことをしているような気がしてきたのです。
起きているときに散髪する
息子が言葉を少し理解するようになった4歳過ぎから、起きているときに散髪をすることにしました。
散髪がどういうことなのか彼に分からせるために、2歳上の姉の散髪を見せることから始め、暖かい時期だったので、散髪をする場所は髪の毛が散らばっても大丈夫な庭です。
お姉ちゃんのお手本は、
色んな場面で大活躍してくれましたよ。
床屋さんでするのと同じように、外で椅子に座らせて身体にはケープを巻いてやります。
じっとしているのが苦手で動くため、ハサミは危ないのでバリカンで、できるだけ短時間で終わるようにしていました。
散髪は好きではなかったので、1日でできず、2~3日かかることもありました。
慣れている床屋さんを探すこと
将来的なことを考えて、床屋さんで散髪できるようにしようと思ったのが、息子が小学校1年生の頃です。
お父さんが行っている理髪店でお願いしてみようかと思っていたときに、知的障害者の施設に出張散髪の経験がある床屋さんを教えてもらえたんです。
偶然にも同地域で、顔くらいは知っている方だったので、思い切ってお願いしてみたんです。
理解ある協力者の存在は
ほんとにありがたいです。
息子の状態を説明して、お願いしたところ、「とりあえずやってみましょう」と引き受けてくれました。
椅子に座ってケープをつけるのはOKでしたが、初めての場所と初めての人ということもあって、キョロキョロと見まわして絶えず頭を動かしていました。
ですが、さすがプロですね。ほんのちょっと動きが止まった隙に、ハサミでササッとカットすることを繰り返して完了です。
息子が動いて危ないようなときでも、大きな声で制止したりすることなく、ゆったりと様子を見ながらカットしてくれました。
一人で行けるように訓練する
息子が小学4年生くらいまでは、理髪店へ行くときは私が付き添っていたのですが、高学年になってから一人で散髪に行く訓練を始めました。
ちょうどその頃の散髪後に描いた絵が面白いです。
頭の上は戦場だねって、大笑いしました。
一人散髪の訓練は、もちろん、一人で行かせても良いか了解を取ってからでしたし、これから行かせますと電話連絡をしてからです。
彼が自転車に乗れるようになってからは、自転車で行くようにして、行き慣れた場所は一人で行けるように練習もしてのことです。
最初のうちは、ちゃんと行けたか、あとをつけて確認することなどもしました。
息子が高校生になったころには、理髪店の息子さんがお店を手伝うようになり、店主の計らいで、息子さんに散髪を任せるようにしてくれたのです。
初めまして同士で、最初は難儀したようですが、今では理髪店の息子さんが開店した新店舗の常連客として、毎月、自分の判断で髪が伸びてきたら散髪に通っています。
【自閉症がわかるまで】触覚過敏で散髪ができない自閉症の息子が床屋へ行けるまでの取組み
まとめ
自閉症の子は、触覚などの感覚が過敏で、特に散髪に困ることが多く、息子も床屋で散髪できるまで一苦労しました。
触覚刺激に慣らすために、刺激を与えて慣らしていく感覚統合訓練もしましたが、息子の場合は、散髪がどういったことか理解させながら実体験を積むことの方が良かったと思います。
ほんとにスモールステップで、一つできるようになったら次の段階へと準備と練習をしながら、何年もかかりましたが、一人で散髪に行けるようになりました。
自閉症の障害を理解して、協力してくれる床屋さんを探すことも必要ですね。
ちなみに、私からの口コミで、息子が通っている理髪店に行くようになった自閉症の子も数人います。
何をするにしても、準備や練習、協力者が必要ですが、ひとつずつクリアしていくことで、自由な世界が広がっていきます。
子育ては、子どもが自立していくために手助けをしていきながら、徐々に手を抜いていくことだと思います。
自閉症の子育ても同じで、少し丁寧に工夫が必要なだけで、同じなんです。