自閉症は生まれつきの障害で、改善はできても完治はしません。ただ、関わり方次第で二次障害は変わってきます。
自閉症の二次障害は、
親の育て方が原因の場合もあります。
自閉症児者は社会に出たとき、うまく対応できず様々な問題を起こすことが多いですよね。
そんな彼らが、少しでも一般社会で自由に生きていくための力を育てるのは、家庭ではないでしょうか。
私は専門家ではないので、難しいことは分かりません。ですが、自閉症の息子と密に関わりながら、親の接し方で良くも悪くもなる現実を体験してきました。
誰にも当てはまるとは言えませんが、根本的なところは同じだと思います。
自閉症の二次障害は育て方が原因
自閉症は親の育て方が原因とする「心因説」が唱えられていた時代は、母親の育て方が悪いからだと責められ、辛い思いをしたと聞いています。
今は、自閉症は微細脳の機能障害によるものとされ、親が責められ肩身の狭い思いをすることがほぼなくなりました。
でも、親の育て方が悪ければ悪化するんです。
私は息子の幼少期にそれを嫌というほど体験してきました。とにかく不機嫌なことが多かったので、彼が機嫌よく過ごしてくれるようにしていたのです。
すると、自分の思い通りにならないときの、癇癪やパニックが酷くなっていきました。
腫れ物に触るように、彼の機嫌を損ねないようにしたことでパニックを強化していたんです。
パニックには不安からくるものと、我儘からくるものの2種類ありますが、よく観察してみると我儘からくるパニックが多いと気づきます。
我儘からくるパニックは、自閉症の障害ではないと思っています。これは育て方が招いた二次障害です。
そんな実例をいっぱい見てきました。
知人親子の実例
息子の同級生のN君は、自分の思い通りにならなかったら大暴れしていました。
N君が高等部の頃、「学校へ行きたくない。」と思っている日は、お母さん一人で送迎はできない状態になっていました。
車を運転している母親の首を後部座席から締めたり、走行中のドアを開けて降りようとしたりしていたんです。
N君は理解力もあり、手先も器用な子でしたが、とにかく機嫌を損ねないように、欲しがるものを与え、好きなことをさせることを優先していたのです。
学校卒業後に入った作業所も、1年足らずで行くことを拒否して、結局在宅です。
家では、たまにお手伝いくらいはするそうですが、好きな時に好きなゲームをして、好きなものを好きなだけ食べて、ぶくぶく太っています。
育て方のせいで引きおこした自閉症の二次障害は、大人になってからでは、なかなか軌道修正するのは難しいです。
親も歳をとって療育する体力・気力が及ばないです。
自閉症の二次障害を軽減する子育て
自閉症の二次障害を軽減する子育てはどうすれば良いか、それは、生きていくために必要な強い心を育てることです。
そして、生きていくために必要な強い心を育てるためには、子育ての目標を立てること。
私は、息子の幼少期には目先のことにとらわれていました。
今すぐ普通になってほしい。はやく追いついて!そんなことばかり思っていたんです。
言葉さえ出れば、知的面が伸びれば、息子の障害は治るような勘違いをしていたんです。
当時の目標は今すぐのことばかりで、どうにかしたい、早く早く!と焦りがあったので私自身に気持ちにゆとりはなかったですね。
彼が、小学1年生のときに子育ての目標を考え直しました。
子育ての目標地点を決める
息子の子育ての目標地点は12年後、「学校卒業後の彼」に修正しました。
子育ての目標
- 人に好かれる人に育てること
- 役に立つ人に育てること
- 一般企業で働き、地域で家族とともにくらすこと
- 余暇を楽しめることを持つこと
- 可能な限り自由に生きること
この目標を決めたことで、今何をすべきかを考えられるようになったのです。
目標の期限は12年後なので、じっくりと息子を観察しながら、今やるべき小さな目標に落とし込んでいけるようになったのです。
そうはいっても、息子は理解力やコミュニケーション力が弱い自閉症です。なので学習させるのも一筋縄ではありませんでした。
でもね、それがかえって良かったのです。
息子は、普通の子の何倍、何十倍、何百倍と努力をしなければ獲得できないことが多かったのです。
簡単に習得できないから人一倍努力しました。できた時の達成感も人一倍大きかったのです。
彼は分かり辛さのおかげで育ったともいえるんです。
そのためにやったことは、最後までやり切らせること。少し頑張ればできる課題を与えることです。
息子とガッツリと向き合いながら、家庭で個別学習をしたのです。
でも、どんなに努力しても自閉症の障害ゆえに限界はあります。何度教えても理解できない息子に落胆してしまうこともありました。
そこで、少しだけ考え方を変えることにしたんです。
「なんでこんなことができないの?」じゃないよ! だって、できないから教えてるんでしょ!
そう思えるようになると、心が穏やかになってきます。
ほんのちょっとの進歩をめいっぱい誉めてやれます。たとえできなくても最後までやり切ったことを誉めてやれます。
個別学習は知識面を伸ばすためというより、こうして努力すること、やり切る力、達成感などを身につけさせる目的の方が大きかったです。
まとめ
自閉症の二次障害で特に困るのは、周囲の人が困ったり被害を受けたりするような問題行動だと思います。
多くの場合、その問題行動は自閉症の障害ではなく二次障害と言えます。
理解力が乏しく、対人関係も悪い自閉症の子がパニックになると、親でもわけが分からないときもあります。
でも、逃げないこと。ちゃんと向き合って子供の言いなりにならずに育てていくことですね。
なんでもかんでも欲しがるままに与えるのが愛じゃない。厳しくても将来を見据えた愛が本物だと思います。
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