誰でも何かしらの予定があって、することが決まっていると安心しますよね。
予定通りに事が運ぶと安心ですが、予定が狂うと不安な気持ちになったりもします。
自閉症の息子も同じだったと思うんです。
自閉症の息子は、何をすれば分からないとウロウロしてました。ウロウロしていたのは不安もあったと思うんです。
そんな時、息子のような自閉症の子にスケジュールを入れると落ち着くと教わったので、状況に合わせた手作りスケジュール表を取り入れたんです。
そこで今回は、息子に使っていたスケジュール表と、その結果を書いています。
息子にスケジュール表を取り入れた時期は?
息子のスケジュール表をがっつり作るようになったのは、彼が小学一年生(7歳)の頃でした。
就学前の5~6歳頃は、直前に「〇〇するよ。」「〇〇行くよ。」と伝えるくらいのことはしていたんですが、彼が理解していたかどうかは不明です。
そんな彼に、きちんと予定を知らせることが必要だと当時通っていた療育センターでアドバイスされ、早速に取り入れたんです。
7歳になったばかりの息子の言語力は、日常生活に関係ある限られた単語くらいで、発語は2語文といったところでした。
ひらがなは読めるようになっていたんですが、文字と文字の意味がつながってはいなかったと思います。
そんな理解力の息子に作るスケジュール表、けっこう悩みました。
状況に合わせた手作り予定表!
文字の意味を理解していなかった息子のスケジュール表のスタートは、絵入り文字だったんですが、絵で表現するのが難しかったんですよね。
なので、思い切って文字だけにしました。
文字と行動が結びつけばOKなので、文字の意味が分からなくても、文字をマークとして認識させることにしたんです。
息子のスケジュール表は、時間や行動など状況によって複数作りました。
- 日常生活のスケジュール表
- 課題学習をするときのスケジュール表
- 家事手伝いの当番表
息子のスケジュール表は大まかに分けて上記3種類使っていました。
それぞれがどんなものだったのかザックリですけど紹介しますね。
日常生活のスケジュール表
日常生活のスケジュール表は、期間別で3種類ありました。
- 一日のスケジュール表
- 一週間のスケジュール表
- 一ヶ月のスケジュール表
一日のスケジュール表
まず、一日のスケジュール表から始めました。
一日の生活のスケジュール表は布に透明のテーブルクロスを縫い付けて作った、カード式の壁掛けスケジュールです。
掛け時計の真下の壁に吊り下げて、名刺サイズのカードを差し込んで使っていました。
まずは、「顔を洗う」「着替える」「歯を磨く」「朝食」「トイレ」「風呂」など、毎日繰り返す日常習慣をカードにしてスケジュール化することから始めました。
朝起きてから登校までの予定カードを前日の夜、私が入れておきます。
彼は朝起きると、カードを確認して、朝の支度をします。
終わったことは、カードを裏返しにしていくので、次にやることが視覚的に確認できます。
彼が下校するまでに、帰宅してから就寝するまでの予定カードを入れておきます。
彼は、帰宅したらカードを確認しながら行動します。
このスケジュール表は、生活習慣が身に付きにくかった小学校1~2年生くらいの間に使っていました。
日常習慣は必ずすることなので、スケジュール表のルールを理解させる訓練にもなったと思います。
スケジュール表を見なくても確実にできるようになったら、この壁掛けスケジュール表は使わなくなりました。
スケジュール表を取り入れてみると、息子にとって先の予定が分かっていることで不安が軽減して行動が整うことがよく分かりました。
というのも、息子は先の予定をとても気にしていたことが分かったからなんです。
小学1~2年生の間は、登下校に付き添っていたんですが、私と一緒に通学路を歩いて帰りながら、彼は帰宅してからの行動予定を何度も復唱していたんです。
「帰ってぇ、着替えてぇ、洗濯たたんで、ごはん食べてぇ、お風呂はいって、寝て、起きて・・・」と、3日分くらいの予定を確認することで落ち着けたようでした。
私が手作りしたカード式スケジュール表と同様のものが、今は商品化されているようです。
25年ほど前には、こんな商品がなかったので、手作りするしかなかったんですが、既製品が活用できるなら利用してみても良いですね。
|
一週間のスケジュール表
一週間のスケジュール表は、夏休みなどの長期休暇の時に使っていました。
パソコンで作った用紙に、彼と相談しながら一週間ごとに手書きで予定を入れていました。
小学校4年生頃から小学生時代に使ったと記憶しています。
彼は学校が休みだけれど、私は仕事をしていたので 彼に付き合える時間を作り出すために、どちらかというと私に必要だったスケジュール表です。
学校へ行っている期間は、学校から貰ってかえる週間時間割表があるので、細かい週間スケジュール表は作ってなかったです。
一ヶ月のスケジュール表
一ヶ月のスケジュール表は、お出かけや行事などをカレンダーに書き込んだもので、最初のうちは必ず実行できることを書き込むようにしていました。
毎月、その月のカレンダー (朝日新聞に折り込まれている物を利用)に大まかな予定を彼自身に書き込ませて机の前に貼っていました。
小学校1年生~高校卒業まで使っていたと思います。
彼は、毎夜日記を書くときにこのカレンダーの当日にスタンプをついていました。カレンダーを使ったことで、曜日や月も覚えていけたのだと思います。
課題学習をするときのスケジュール表
家庭での個別学習の時に使っていた学習中のスケジュール表です。
今日やる勉強が何なのか一目で分かります。上から順にしていって、終わったものからカードを抜いていくので、終わりも分かります。
学習予定表でやることが分かっていること、はじめと終わりが分かっていることで、彼は先の見通しができるので、抵抗なく学習に取り組めました。
終わった学習カードを抜くのは彼なので、机上に置いておけるものを手作りしました。
ちょっと分厚い段ボール紙を左端に2枚重ねてホッチキスで止めているだけのカード差しです。段ボール紙の空き箱で作ってます。
家事手伝いの当番表
家事手伝いの当番表も使っていました。息子が小学5~6年生頃です。
彼の家事当番は、毎日のようにあったので、スケジュール表がないと分からなくなるんです。
家事当番のスケジュール表は、2人の姉たち用にも作っていて、3枚並べて壁に貼っていたんです。ちゃんとやったら自分で〇印を付けます。
月が終わったら、このスケジュール表で封筒をつくって、子供たちのお給料(お小遣い)になります。
普通は、家事手伝いは無償のものだと思いますけど、仕事した対価としてお給料がもらえるってことを、家庭内でもやっていました。
中学生になってからは、部活動で帰宅が遅くなったので、家事手伝いは休日のみになったので、当番表は使わなくなったんですけどね。
時系列で変更するスケジュール表のルール
理解できる言葉が少なく、コミュニケーション力も弱かった息子に、スケジュール表のルールを理解させるには時間がかかりました。
そして、理解度によってルールを変更していく必要もありました。
このルール変更をしなかったがために、逆に過ごしにくい日常生活になってしまうこともあります。
スケジュール表を導入したとき
スケジュールしたことは必ず実行すること。
「予定は守る」「予定は守られる」ことが分かれば、スケジュール表に従って行動することができるようになります。
なので、スケジュールを導入し、そのルールを理解するまでは、できるかできないか定かでないことは予定には入れないことがポイントです。
特に、お出かけなど子どもが楽しみにしそうなことは、必ず実行できることだけにします。
スケジュール表で行動ができるようになったら
スケジュール表のルールを理解して行動できるようになったら、本人も家族も楽になるので、この状態をずっと続けた方が良いと思いますよね。
でも、そうじゃないんです。
いつもいつも予定通りに事が運ぶわけじゃないですよね。予定は変更になったり中止になったりするものです。
その経験を積んでおかないと、予定通りに進まないときの不安が大きくパニックになってしまうんです。
なので、スケジュール表で行動できるようになったら、予定変更を入れて崩していくことも必要なんです。
予定が分かっていることで安心していた息子は、予定変更には大抵抗だったんですが、何度も繰り返すことで慣れてくると、予定変更を受け入れられるようになりました。
予定を入れるより崩す方が大変だったんですが、これをやっておかないと過ごしにくくなるんです。
知人の息子さんは、スケジュールを入れることで生活がしやすくなったのですが、予定崩しをしなかったため、スケジュールが固定化してしまい困っていました。
例えば、夕食は午後6時に自宅で食べると固定化してしまうと、外出していてもその時間までに帰宅して夕食しないとパニックになるんです。
急な予定変更にも対応できるように、身体が小さく抵抗して暴れても対処しやすい時期に予定変更を入れておくことは必須です。
スケジュール表を取り入れた結果
スケジュール表を入れたことで、いつ何をすれば良いのか息子に伝えることができました。
息子は先の見通しが立ったことで不安が軽減し、行動が落ち着き指導しやすくなりました。
私自身も息子のスケジュール表に合わせて、自分の仕事や家事の時間を捻出できたので、親子で時間を有効に使えるようになりました。
現在の息子は、仕事や趣味の時間の予定は自分で把握しているので、指示しなくても予定通りに行動できています。
「次の日曜日、畑で草引き手伝ってくれんかな?」など、急な予定を入れても快くOKできるようになっています。
息子はクリーニング工場で働いていますが、定時で終わることは殆どなく、その日の午後あたりで残業を知らされるのですが、問題なく受け入れています。
スケジュール表を自分で活用できるようになっていると、生活がしやすいですね。
まとめ
自閉症の息子に取り入れたスケジュール表、いかがでしたか?
先の見通しがたっていないと不安になるのは自閉症に限ったことではないですが、言葉や理解力が弱い息子にとっては、普通よりも不安は大きかったと思います。
そんな彼にスケジュール表を取り入れたところ、いつ何をすれば良いか分かったことで不安が軽減し行動が落ち着きました。
息子に取り入れたスケジュール表は状況に合わせて複数あります。
- 日常生活のスケジュール表
- 課題学習をするときのスケジュール表
- 家事手伝いの当番表
特に活用できたのは、日常生活のスケジュール表で、期間別で3種類ありました。
- 一日のスケジュール表
- 一週間のスケジュール表
- 一ヶ月のスケジュール表
スケジュール表のルールを理解して行動できるようになるまでには、繰り返し何度も日にちをかけて教える必要がありました。
予定通りに行動できるようになったら、予定変更も入れていく必要があります。
将来、予期せぬ状況に遭遇しても、柔軟に心穏やかに行動できるようになるため、スケジュール表の取り組みは欠かせなかったと実感しています。